清貧おやじ
世の中、金のかかる事ばかり...
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「すべてがFになる」 森博嗣
すべてがFになる
森博嗣 1996年作

すべてがFになる

森博嗣のデビュー作にして、第1回メフィスト賞受賞作。
ちょっと変わった趣向の作品に仕上がっており、
なかなか面白かったです。
物語の舞台は愛知県人なら誰でも知っている三河湾の日間賀島
作中の表記は「妃真加島」に変えてあります。
それもその筈、小説の中の妃真加島は、
なんと、個人所有の島という設定になっています。
これには、日間賀島の人も、びっくり!
物語は、その島にある研究所で起こった、
ハイテクによって生み出された密室殺人を描いています。

著者が実際に工学部の助教授ということで、
そういう方面の専門用語がバンバン出てきます。
物語の設定が携帯電話が一般に普及する前になっているため、
作中のコンピューターはUNIXになっていますが、
この本が書かれた1996年といえば、
Windows 95が発売された翌年のことであり、
インターネットやメールも現在ほど普及していなかった事を思えば、
そんな時代に、このようなマニアックな作品を書いた
著者は凄いと思います。
この本に描かれている事が、
今、やっと現実になっているような気がします。
また、多重人格やヴァーチャルリアリティーなどの要素を、
既に物語に盛り込んでいるのも、
著者には先見の明があったと思います。

私には結局、「F」が何なのか分かりませんでした。
しかし、そんなことはどうでも良いくらい、
最後まで楽しく読むことができました。
トリックや設定等、突っ込みどころは満載ですが、
物語の独特な世界観を十分に楽しむことが出来ます。
この手の小説は誰にでも書けるというわけにはいきません。
正に「理系ミステリー」と言えると思います。

あと、あえて苦言を呈するのなら、
主人公が煙草を吸う描写が異常に多いです。
めちゃめちゃ気になります。


★★★★☆


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「黒猫の三角」 森博嗣
黒猫の三角
森博嗣 1999年作

黒猫の三角


3年前から毎年、ゾロ目の日にゾロ目の年齢の
女性が殺される事件が起きていた。
過去の事件から推察される法則に従うのなら、
今年は六月六日に44歳の女性が殺されることになる。
主人公の探偵は、今年のターゲットとなりうる女性から
身辺警護を依頼されます。
しかし、当日、依頼者は衆人環視の密室の中で殺されてしまう。
果たして真相はいかに?
といった展開の話。

森博嗣氏の小説は、初めて読みました。
森氏の作品には、いろいろなシリーズがあって、
この作品はS&Mシリーズの後に始まった
Vシリーズの第1作目ということでした。
新シリーズの1作目ということで、
主要キャストの紹介に重点が置かれています。
そして、その新キャラの人達が皆、
ユニークな名前の人達ばかりです。

保呂草潤平(ほろくさ じゅんぺい)、
瀬在丸紅子(せざいまる べにこ)、
小鳥遊練無(たかなし ねりな)、
根来機千瑛(ねごろ きちえい)

あ~ややこしい。

この小説はミステリーとしては少々アンフェアな、
読者を煙に巻くような作品でした。
まぁ、密室物は、皆、アンフェアなんですけれどね。
そして、終盤のあっけなさ過ぎる犯人の告白。
真犯人の意外さには、やられた!と思いましたが、

そんなのありか!

て、感じです。
しかし、ある意味、
第2作目を意識した、実験的な作品だと思いました。
次回作を読んでみたくなる上手い手法だと思います。

ところで、作中に出てくる「林選弱桑」という四字熟語は、
本当に存在する言葉なのでしょうか?
それとも、やっぱり著者の造語?
まぁ、こういった小技が、森氏の魅力なのかもしれませんね。

あと、本題とは関係ありませんが、この小説は、
森氏が愛知県出身のせいなのだろうか、
小説としては珍しく名古屋?が舞台になっています。
地元の人間としては、知っている地名が出てきて、
嬉しかったです。

森氏はS&Mシリーズの「すべてがFになる」が有名なそうなので、
今度は「すべてがFになる」を読んでみたいと思いました。


★★★☆☆


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