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「テロリストのパラソル」 藤原伊織
テロリストのパラソル
藤原伊織 1995年作

テロリストのパラソル


史上初の江戸川乱歩賞と直木賞のダブル受賞作品。
日本を舞台にしたハードボイルドのお手本となるような作品。
話のテンポが良く、登場人物も魅力的で会話もクール。
これぞ、ハードボイルドというスタイルを最後まで貫いていて、
読後感も暗い感じは残さず、すっきりとしています。

たまには、こういう作品を読むのも良いものだ。

主人公はかつて学生運動に従事し、
その時、友人と起こした爆弾事件によって
指名手配の身になっている中年男。
それから約20年、男は身を潜め、名前を変え、 現在は都会の片隅で
ひっそりとバーテンダーをやっているのですが、
逃亡生活の間、彼はすっかりアルコール中毒になってしまっていた。
ある日、彼がいつものように昼間から公園で酒を飲んでいると、
目の前で死傷者多数の大惨事となる爆弾テロ事件が発生する。
男は危うく難を逃れるのだが、現場に酒瓶を置き忘れてしまう。
その酒瓶には彼の指紋が...。
かくして、男は再び警察から追われる身になってしまうのだった。 
という展開の話。

全共闘だの、安田講堂だのいわれても、
最近の人にはぴんとこないかもしれませんが、
学生運動の時代を生きた人達なら、
多分、共感するところが多いのではないでしょうか。
ちなみに私も平和な90年代の大学しか知りません。
しかし、先輩から当時の自慢話を聞かされたことはあります。
得意げに話す先輩が、なんか羨ましかったです。
あの時代の学生は、本気で物事を考えていたのだと思います。

この小説の主人公の男も、今でこそアル中のバーテンですが、
東大出身の元過激派という設定なので、
作品の中には「知的な」雰囲気が溢れている。
かつて国家と闘ったインテリの発する言葉は、
落ちぶれたとはいえ、よくハードボイルドにありがちな
孤独な私立探偵などとは重みが違います。
それは嫌みのようなインテリさではなく、
ごく自然に小説全体に漂っており、文学的ですらある。
暴力シーンばかりのハードボイルドではなく、
醸し出されるこの「知的な」香りこそが、
この小説の最大の魅力だと思います。

都合の良い展開と思われる節も多々ありますが、
緻密に計算された伏線と気の利いたセリフ、
そして最後に分かる「テロリストのパラソル」という
タイトルの意味するところ。
なかなか良くできた作品だと思いました。

この作者は2007年に亡くなられてしまったのですね。
59歳だったそうです。
こういう小説はセンスがないと、なかなか書けないと思います。
ご冥福をお祈り申し上げます。


★★★★☆


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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

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