清貧おやじ
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「深紅」 野沢尚
深紅
野沢尚 2000年作品

深紅

この小説は、ある意味、ミステリーではなかった。
殺人事件の被害者遺族の苦悩の物語でした。

主人公の小学校6年生の少女が修学旅行先で突然、家に帰るように言われるところから物語は始まる。
家族の死を予感し、不安な気持ちで東京に帰る少女。
(この冒頭のシーンの描写は本当に見事である)
そして知らされる家族の死。
家は壊され、父、母、二人の幼い弟までも、惨たらしく殺されていた。
当然犯人は死刑判決を受けるのですが、犯人の上申書によって事件の驚くべき真相が明らかになってくる。
(このあたりも凄い)
そして、犯人には主人公の少女と同じ年の娘がいる事も分かってくる。
癒しがたい傷を負ったまま成長していく少女。
大学生になった主人公は、正体を隠し、ついに犯人の娘と出会う事になるのだが...という展開の話。

前半の描写は素晴らしい。事件も残虐で生々しく、真相もショッキングなので、最後はどうなってしまうのだろうと思ったが、肩透かしを食わされた感じの終わり方だった。
ミステリーばかり読んでいる私としては、最後はもっと悲惨な結末が用意されていると期待してしまうのですが、著者も、あまり救いのない展開にはしたくなかったのだろう。
憎しみが憎しみを生む、負の連鎖は断ち切らなければならないという思いは伝わりましたが、テーマが重すぎたのかもしれません。
世の中には現実に、このような遺族の方もみえるので、不謹慎な話は書けないと思ったのかも知れません。
結末には、いろいろな選択肢があったと思いますが、著者が展開に悩んだまま作品が終わっているような感じがして、前半の凄まじさに比べて、中途半端な終わり方になってしまっているような気がしました。
やはりテーマが重すぎたと思います。

ところで著者の野沢尚氏は、有名な映画やテレビドラマの脚本を多数手がけている人だったのですが、2004年に自殺していたのですね。
知りませんでした。

★★★☆☆


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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

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