清貧おやじ
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「魔術はささやく」 宮部みゆき
魔術はささやく
宮部みゆきの刊行順でいうと、デビュー2作目で、1989年の作品。

魔術はささやく

新聞に載ったありふれた記事から物語は始まる。
一人目の女は、マンションの屋上から飛び降り自殺。
二人目の女は、地下鉄に飛び込み自殺。
三人目の女は、走ってくるタクシーに飛び込み自殺。
一見無関係と思われた自殺には、恐るべき陰謀が隠されていた!
自殺に見せかけた連続殺人?次は自分の番とおびえる女。
真相に迫るうちに、人間の深い闇の部分を利用した魔術の正体が明るみになっていく...。という展開の話。

物語は、三人目の事件に巻き込まれたタクシー運転手の甥で、高校1年生になる少年を主人公として進んでいく。
物語の序盤は、少年の暗い生い立ちや、差別、学校でのイジメ、人身事故を起こしてしまった家族の心情がリアルに描写されていて、読んでいて結構辛いものがあります。
しかし、そんな辛い境遇におかれても、主人公の少年は腐ることなく、とても前向きで(彼のある特技を使って)、真相を知ろうと、勇気を持って果敢に奔走します。
また、家族を含めた彼を取り巻く登場人物も、人情味のある善良な人達ばかりなので、悲惨な内容ですが、読んでいて応援したくなります。
トリック自体は大したことはありません。もう一捻りあるのかと思って期待したのですが、案外、素直なもので、「刑事コロンボ」の二作品を一つにした様な感じでした。
社会的な問題も含まれていますが、犯人の動機としては、少し弱いような気もします。
少年の特技も都合の良い設定だと思えてしまう。

しかし、以上の事は、あまり問題になりません。物語の真相は、良く出来ています。
過去の出来事が、一つにうまく集約していくストーリー展開とか、ある人物の「罪悪感」が事件と交差して、最後は別のテーマに持っていく著者のテクニックは見事です。
一言で言えば、暗い「青春アドベンチャー」といった感じの小説です。


★★★★☆


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テーマ:推理小説・ミステリー - ジャンル:本・雑誌

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